設計を始める前に

設計で先ず思い浮かべるのは、間取りや、デザインですが、設計を始める前に、大切な事が二つあります。
一つは土地,二つ目は予算です。当然だと思われますが、その事ついて具体的に説明をします。

お金に変えることの出来ない価値

設計の仕事を始めたころ、その後の設計に多大な影響を受けた事があります。

それは、初めて建築の勉強のためにアメリカ、カナダに行った時の事、カナダのバンクーバーで、現地の建築関係者に案内された、バンクーバー湾が一望出来る丘の上に建つ、四連棟の木造アパートです。
(こちらのアパートの概念とは違って、むしろマンションに近いのですが)一戸の床面積が80坪程の内装の仕上げも質の高いものでした。

しかし、何よりも素晴らしかったのは、リビングから眼下に広がるバンクーバー湾の夕景色の素晴らしさです、25年たった今でも、目に焼きついて忘れる事が出来ません。

彼の説明によると、これと同じくらいの床面積で、土地が150坪の高級住宅地の戸建ての価格と、同じくらいと聞いて驚いたのですが、この景色はお金に換算出来ますかと問われ全てが理解できました。

すなわち、景色はお金に換えることは出来ないだけの価値が、有ることを実感しました。

 

土地の魅力を最大に生かすこと

そして、帰国してからは、土地と景色を意識して設計をするようになりました。
一例ですが、兄が長崎の大村市に自宅を建築する時に、何度か現地を訪れて土地を探したのですが、適当な土地が見つかりません。
しかし、眺望の良い土地を探しているのを聞いた方から大村駅後ろの、丘の上の土地を紹介されました。そこからは、大村湾が一望でき、湾に浮かぶ長崎空港を、眼下に見下ろす事が出来ます。

そして、ここに家を建てることを決めたとき、25年前のバンクーバー湾の景色を思い出しました。
設計は、この土地の魅力を最大に生かすことを考えました。この土地の前に建物があって折角の眺望も一階から見ることが出来ないので、二階にリビングを配置し、生活の中心を二階に置きました。

バルコニーは広く取って、晴れた日の休日には、長崎湾を眺めながら朝食をとり、優雅な気分を味わうことが出来ます。

これは、特殊な解答の様ですが、目的を持って土地を探す事が大切だと言う一例だと思います。